私が生きている間に二度とこれほどの規模の展覧会は開催できない

― 十五代 樂吉左衞門

展覧会の見どころ
Highlights of the exhibition

ロサンゼルス・カウンティ美術館、サンクトペテルブルク・エルミタージュ美術館、
モスクワ・プーシキン美術館で開催され約19万人を動員。
好評を博した展覧会が、さらに充実度を増し、京都と東京の国立近代美術館に凱旋します。
千利休が愛した初代長次郎の黒樂茶碗「大黒」をはじめ、歴代の重要文化財のほとんどを一挙公開。
本阿弥光悦の重要文化財をはじめ、よりすぐりの作品も出品されます。
「わび」茶の思想を強く反映した造形世界をお楽しみください。


  • 1. 初代長次郎、光悦の重要文化財が、かつてない規模で揃います
  • 2. 利休が愛した名碗が揃います
  • 3. 樂家450年の伝統と技をご覧いただけます
  • 4. 現代の視点でとらえた初代長次郎はじめ、歴代の「今」をご覧いただけます

十五代 樂吉左衞門|焼貫黒樂茶碗 銘 暘谷
平成元年(1989)|個人蔵

出展作品 ― 十五代樂吉左衞門さんに聞く"初代長次郎"作品の見どころ
Works

黒樂茶碗 銘 大黒(おおぐろ)

黒樂茶碗 銘 大黒(おおぐろ)

初代 長次郎|桃山時代(十六世紀)|重要文化財|個人蔵

今回メインの長次郎茶碗。利休の関わる長次郎茶碗を7碗集めた「利休七種」と冠される7つの茶碗、「大黒」はその筆頭ともいえる。利休の侘び茶の真髄を表し、長次郎茶碗随一と謳われている。深い存在感、静かな佇まい、小さな茶碗が宇宙を支配する。まさに「茶碗の中の宇宙」を表す茶碗。

赤樂茶碗 銘 無一物(むいちぶつ)

赤樂茶碗 銘 無一物(むいちぶつ)

初代 長次郎|桃山時代(十六世紀)|重要文化財|頴川美術館蔵

松平不昧が愛した茶碗。無駄な表現、誇張や変化を削ぎ落とした存在感は、「大黒」とともに利休の侘び茶の真髄を表している。


【展示期間】
京都会場:2016年12月17日-2017年1月15日
東京会場:2017年3月14日-4月2日

黒樂茶碗 銘 禿(かぶろ)

黒樂茶碗 銘 禿(かぶろ)

初代 長次郎|桃山時代(十六世紀)|表千家不審菴蔵

利休が愛し常にそばに置いた黒樂茶碗「禿(かぶろ)」。表千家に伝わる名碗、利休の年忌の時にしか使用しない。「禿」の名は太夫に常に付き従う少女かぶろから名付けられた。……利休のそばにいつもいた茶碗だから。

赤樂茶碗 銘 太郎坊(たろうぼう)

赤樂茶碗 銘 太郎坊(たろうぼう)

初代 長次郎|桃山時代(十六世紀)|重要文化財|裏千家今日庵蔵

初期的なプリミティブさを残す。長次郎が利休から依頼され制作し始めた頃の素朴な作振り。轆轤にはない柔らかな姿、手のぬくもりが感じられる。樂茶碗は手のひらの形。


  • ※展示では赤樂茶碗の「太郎坊」「二郎坊」が揃います
黒樂茶碗 銘 ムキ栗(むきぐり)

黒樂茶碗 銘 ムキ栗(むきぐり)

初代 長次郎|桃山時代(十六世紀)|重要文化財|文化庁蔵

不思議な茶碗「ムキ栗」。高台と腰は丸、胴と口は四角。丸と四角、この不思議な茶碗も利休の好み。利休の建てた二畳の茶室「待庵」の空間と相似形をなしている。「待庵」に座ることは、まるで「ムキ栗」の見込みの中にいるようなもの、そういうイメージが交差する。まさに茶碗の見込みは深い宇宙!!


  • ※京都会場のみの展示となります
赤樂茶碗 銘 一文字(いちもんじ)

赤樂茶碗 銘 一文字(いちもんじ)

初代 長次郎|桃山時代(十六世紀)|個人蔵

利休が見込みに『一』の字と自分の花押を漆で書き込んだ。なぜ「一」の字を書き込んだのか、しかも茶を点てる見込みの底に! 400余年の歳月の中で漆はすでに剝げ落ちているが、漆によって保護された部分と、漆の字が載っていなかった部分の質感の違いで、「一」と「花押」とが判読される。茶を点てる部分であるから、いずれは剝げ落ちるということを知りながら、人々が400余年の歳月を大切に伝えてきた。受け継がれてきたことの尊さ、人々の伝える心をこの茶碗は証している。長次郎赤樂茶碗の中で最も完成度の高い茶碗、その意味でも「一」の書き込みは理解できようか。


  • ※東京会場は会期中展示替えがあります
黒樂茶碗 銘 俊寛(しゅんかん)

黒樂茶碗 銘 俊寛(しゅんかん)

初代 長次郎|桃山時代(十六世紀)|重要文化財|三井記念美術館蔵

この「俊寛」にも故事来歴がある。利休が九州の弟子に長次郎の茶碗をいくつか見せて選ばせたところ、この黒茶碗を選んだという。もちろん利休がそのとき最も好んだ茶碗であったが、利休は、九州鬼界ヶ島に流された俊寛に例えて「この黒茶碗は、俊寛僧都よな」とつぶやいたという。箱表に貼り付けられた小さな紙札に書かれた「俊寛」の字は利休自筆という。


  • ※京都会場のみの展示となります
黒樂茶碗 銘 万代屋黒(もずやぐろ)

黒樂茶碗 銘 万代屋黒(もずやぐろ)

初代 長次郎|桃山時代(十六世紀)|樂美術館蔵

利休が所持し娘の手を経て娘婿、万代屋宗安所持となった「万代屋黒」。万代屋家に伝わった茶碗だからいつしか人々は「万代屋の黒茶碗」と呼ぶようになった。それが茶碗の名の由来。利休をテーマとした映画『利休にたずねよ』で、市川海老蔵さん扮する利休が死の間際に茶を点て、利休自刃の後、中谷美紀さん扮する利休妻(宗恩)が一人この茶碗で茶を点て利休を偲んだ。


  • ※東京会場は会期中展示替えがあります

十五代 樂吉左衞門
Raku Kichizaemon XV

覚入の長男として生まれる。昭和48年(1973)東京藝術大学彫刻科卒業後イタリア留学。父、覚入の没後、昭和56年(1981)十五代吉左衞門を襲名し現在に至る。平成19年(2007)には滋賀県守山市の佐川美術館に樂吉左衞門館が新設され、館ならびに茶室を自身で設計した。当代の造形は、伝統に根ざしながらも現代性へと大きく踏み出している。特に「焼貫」の技法を駆使し、大胆な篦削りによる彫刻的ともいえる前衛的な作風を築き上げている。